採用単価とは?
ANSWER
採用単価とは、ある期間に採用にかかった費用の総額を、同じ期間に採用できた人数で割った、1人あたりの費用です。社外に払ったお金だけでなく、社内の人が採用に使った時間も費用に数えます。
採用単価は「採用コスト」「1人あたりの採用費」とも呼ばれます。呼び方は違っても、割る数が採用できた人数である点は同じです。応募1件あたりや面談1件あたりの費用とは、分母が違う別の指標です。
米国の人事の団体SHRMが事務局を務めた規格(ANSI/SHRM 06001.2012)も、同じ形で定義しています。外部費用と内部費用の合計を、期間の採用人数で割るという式です。このツールはその基本の形に合わせ、費目を日本の採用の実務に寄せて分けました。
採用単価の計算式
ANSWER
採用単価=(外部費用の合計+内部工数の合計)÷採用人数。内部工数は、関わった人数×1人あたりの時間×時給を、役割ごとに足して出します。
| 項目 | 中身 | このツールの欄 |
|---|---|---|
| 外部費用 | 社外の会社・個人に払った金額 | 媒体の利用料・人材紹介の手数料・代行の費用・イベントと広告・その他 |
| 内部工数 | 社内の人が採用に使った時間を金額にしたもの | 人事の担当者・面接官・役員の3行(人数×時間×時給) |
| 採用人数 | 費用と同じ期間に入社した人数 | 1以上の整数 |
結果は、採用単価と、外部費用・内部工数それぞれの1人あたりの額で出ます。総額に占める割合も並ぶので、どちらに費用が寄っているかが一目で分かります。
欄はすべて必須です。使っていない費目には0を入れてください。空欄のまま0として計算すると、入れ忘れた費目を見落としたまま安い単価が出てしまうからです。採用人数が0人のとき、また費用が全部0円のときも、単価は出しません。
入れる費用・入れない費用
ANSWER
入れるのは、候補者を探し、選び、入社まで進めるためにかかった費用です。入社した後の給与・研修・離職の損失は入れません。
| 扱い | 費目 | 数え方 |
|---|---|---|
| 入れる | 求人媒体・スカウト媒体の利用料 | その期間の採用に使った分。年契約は月数で割り戻す |
| 入れる | 人材紹介の手数料 | その期間に入社した人の分。返金があれば差し引く |
| 入れる | スカウト代行・採用代行の費用 | 月額・従量・成果報酬のどれでも、払った額 |
| 入れる | 説明会・イベント・広告 | 出展料・会場費・交通費・制作費 |
| 入れる | 社内の人の時間 | 書類選考・面接・日程調整・スカウト文の作成と確認 |
| 入れない | 入社後の給与・賞与・社会保険料 | 採用の後に払う人件費 |
| 入れない | 入社後の研修・受け入れの費用 | 育成の費用として別に数える |
| 入れない | 辞めた人の穴埋めにかかった損失 | 採用の費用ではなく離職の費用 |
境目は「入社の日」です。SHRMの規格も、入社した後の給与・福利厚生・研修、離職による損失は測る対象に入れないと定めています。入社の前に払った支度金や入社祝い金は、採用のための支出として外部費用の「その他」に入れます。
迷う費目は、毎回同じ扱いにすることを優先します。採用管理ツールの利用料のように、採用に使ったか判断が分かれるものもあるでしょう。入れるか入れないかを一度決めたら、次の期間も同じ扱いで計算すると、期間どうしを比べられます。
内部工数の出し方
ANSWER
内部工数は、役割ごとに「関わった人数×1人あたりの時間×時給」で出します。時給は、月給を月の所定労働時間で割る方法が分かりやすい出し方です。
時間に数える作業
数えるのは、求人票を書く、スカウト文を書いて確かめる、書類を読む、日程を調整する、面接する、合否を話し合う時間です。面接は、面接官が準備と記録に使った時間まで含めると実態に近づきます。
記録が無い期間は、1回の面接の長さ×回数のように、作業の単位から見積もって構いません。SHRMの規格も、費用を1円単位で照合することまでは求めていません。大事なのは、見積もりの決め方を次の期間もそろえることです。
時給の出し方
月給で働く人の1時間あたりの賃金は、労働基準法施行規則19条1項4号に出し方の規定があります。月給を月の所定労働時間で割り、月によって時間が違うときは1年間の月平均の所定労働時間で割る方法です。本来は割増賃金の計算のための規定ですが、時給の目安を出すときの物差しとして使えます。
会社が負担する社会保険料を時給に含めるかは、社内で決めて構いません。SHRMの規格は、採用の担当者の給与と福利厚生を足した額で数える形です。含めると単価は上がります。どちらにしたかを結果と一緒に書き残すと、後から見た人が数字を読み違えません。
期間と人数のそろえ方
ANSWER
費用と採用人数は、同じ期間・同じ範囲で数えます。期間は四半期か1年、人数は入社した人で数えると、ずれが小さくなります。
採用は、費用を払ってから入社するまでに時間がかかります。1か月だけで区切ると、先月払った媒体の費用と今月の入社が別の月に入り、単価が大きく振れます。期間を長めに取るほど、このずれは薄まるはずです。
人数は、内定ではなく入社で数える方法をおすすめします。内定の辞退があると、内定で数えた単価は実際より安く見えるためです。成果報酬の契約が入社日を成立の時点にしている場合も、入社で数えると請求の時点と合います。
複数の職種を同じ媒体で採ったときは、共通の費用を職種ごとに分けるか、全職種をまとめて1つの単価にします。分けるなら、送ったスカウトの数や求人の数など、毎回同じ物差しで割り振ります。
この計算で分からないこと
ANSWER
採用単価は費用の大きさしか示しません。採用までの日数、入社した人の活躍、候補者と現場の満足は、別の指標で見ます。
- 単価が下がっても、採るまでに半年かかっていれば、空いた席の損失は数字に出ません。
- 採用人数が少ない期間は、1人の差で単価が大きく動きます。数人のときは、期間を延ばして見ます。
- 職種・役職・地域・その時期の採用市場で、費用は上下します。条件の違う単価を並べても、優劣は決まりません。
- 入力した値の正しさは、このツールでは確かめられません。費目の抜けや二重計上があれば、結果もずれます。
SHRMの規格も、費用の指標だけでは採用の良し悪しを言い切れないと、限界として書いています。採用単価は、採用までの日数や面談の数と並べて読む数字です。
平均や相場と比べるには
ANSWER
このページは、入れた値の計算だけを行い、平均や相場の数字は載せていません。公的な調査の平均との比べ方は、別の記事で調査の範囲ごとに整理しています。
調査の平均は、調査の年・対象の会社・数えた費目によって中身が変わります。自社の単価と比べるときは、内部工数を含むか、正社員だけかなど、条件が合うかを先に確かめます。条件のそろえ方は採用単価の平均を公的統計で読む記事にまとめました。
採りにくさは職種で違うものです。求人に対して求職者が少ない職種ほど、同じ費用でも採用人数が増えにくくなります。職種ごとの差は職業別の有効求人倍率の解説で、公的統計の数字とともに見られます。
職種ごとの採り方は、エンジニアの採用・営業職の採用・施工管理・建設の採用の各ページで扱っています。
結果をどう使うか
ANSWER
採用の手段ごとに分けて計算すると、どこに費用が寄っているかが分かります。同じ手段の単価を期間ごとに追うと、手直しの効き目も見えます。
たとえば、人材紹介で入社した人と、スカウトで入社した人を分けて、それぞれ計算します。人材紹介は外部費用に寄り、自社で送るスカウトは内部工数に寄りやすい形です。手数料の決まり方は人材紹介の手数料の解説で確かめられます。
スカウトを外に任せる場合は、払い方で単価の形が変わります。月額型は採用が無い月も費用が出ます。成果報酬型は成果が出た分だけです。払い方ごとの幅はスカウト代行の費用相場、面談で払う形は面談課金の仕組みで解説しています。
内部工数の多くがスカウト文の作成なら、書く時間を減らす工夫が効きます。送る前の点検はスカウト文の点検ツール、書き出しの型はスカウト文の例文集で用意しています。
PINSCOUTの場合
出典
SOURCES — このページの出典
- SHRM「Cost-per-Hire Standard(ANSI/SHRM 06001.2012)」(2012年2月8日承認)2026年11月3日に原文を確認。米国の任意の規格。5章の基本の定義(外部費用と内部費用の合計を、期間の採用人数で割る)と6章の範囲・限界を参照。掲載先は SHRM の公式ドメインではない冊子の写し
- e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」(昭和22年厚生省令第23号)第19条第1項第4号2026年11月3日に原文を確認。割増賃金の計算で使う1時間あたりの賃金の出し方。採用単価の時給の目安として借りるもので、採用の費用の計算を定めた規定ではない
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