本文へ移動
PINSCOUT

GUIDE

介護職・看護師の採用が難しい理由と、採用の方法

PUBLISHED
UPDATED
READ
10 MIN

KEY POINTS — この記事の要点

  • 2026年9月の有効求人倍率は「介護サービス職業従事者」3.94倍、「保健師,助産師,看護師」2.04倍(職業計1.08倍。厚労省、パートを含む原数値)。

  • 令和8年度の期中改定で、介護職員等処遇改善加算の対象は介護従事者に広がり、訪問看護なども加わった。昇給の仕組みや研修の要件は、求人に書ける材料になる。

  • 人材紹介で入った人の6か月以内の離職率は、看護12.9%・介護19.9%(厚労省の集計、令和5年度)。紹介の契約では返金の規定を先に確かめる。

介護・看護の採用が難しい理由

ANSWER

介護・看護の採用が難しいのは、働きたい人に対して求人が数倍あるからです。賃金は介護報酬などの公定価格に左右され、1つの事業所の判断だけでは上げにくい事情も重なります。

難しさの中身は、事業所の側から見ると次の3つです。

  1. 候補者の取り合い: 介護サービスの職業の求人倍率は、職業計の数倍です。近くの施設どうしで、同じ人を探しています。
  2. 賃金の上げ方に枠がある: 介護サービスの単価は、国が定める介護報酬で決まります。賃上げの財源として、国は処遇改善加算を設けています。
  3. 入っても早く辞める: 人材紹介で入職した人のうち、介護では約5人に1人が6か月以内に辞めています(厚労省の集計)。

1つ目は地域の需給の問題です。2つ目と3つ目は、加算の取り方、採用の経路の選び方、入職前の説明で差が出ます。

求人倍率を2つの分類で見る

ANSWER

2026年9月の有効求人倍率は、「介護サービス職業従事者」が3.94倍、「保健師,助産師,看護師」が2.04倍でした。同じ月の職業計は1.08倍です。

統計の上では、介護職と看護師は別の分類に入ります。介護サービス職業従事者には、施設などで働く介護職員と、訪問介護の従事者が含まれます。看護師は、保健師・助産師と同じ分類です。准看護師がこの分類に入るかは、表からは確かめられませんでした。

介護・看護の職業分類の有効求人倍率
職業分類(厚労省の名称)パートを含むパートを除く1年前(2025年9月・含む)
介護サービス職業従事者3.94倍3.54倍3.90倍
保健師,助産師,看護師2.04倍2.35倍2.00倍
職業計1.08倍1.18倍1.10倍
介護・看護の職業分類の有効求人倍率(2026年9月)。参考統計表6(パートタイムを含む)と表7-2(パートタイムを除く)。全国・常用・原数値(季節調整なし)。職業の区分は平成21年12月改定の日本標準職業分類。出典: 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年9月分)について」(2026年10月30日公表)

元の数で見ると、介護サービスの職業は有効求人205,014件に対して、求職者が52,093人です。求職者1人に約3.9件の求人があります。看護師の分類では約2.0件でした。

介護はパートを含めた値(3.94倍)が、除いた値(3.54倍)より高く出ます。短い時間で働く人の求人が、とくに埋まりにくいと読めます。看護師は逆で、パートを除くと2.35倍に上がります。常勤の看護師のほうが、取り合いが強いということです。

どちらもハローワークの求人と求職だけの数字です。ほかの職種との比べ方と推移は、職種別の有効求人倍率で確かめられます。

処遇改善加算と、採用での使い方

ANSWER

介護職員等処遇改善加算は、介護報酬に上乗せされ、職員の賃金の改善に充てる加算です。令和8年度の期中改定で、対象が介護従事者に広がり、訪問看護などにも設けられました。

FIG.01介護の処遇改善の加算の移り変わり。厚生労働省老健局長通知(令和8年3月13日)の前文から作成。

令和8年度の改定では、介護従事者に月1.0万円(3.3%)の賃上げを見込む措置がとられました。生産性の向上や協働化に取り組む事業者の介護職員には、月0.7万円(2.4%)の上乗せがあります。定期昇給を含めると、介護職員は最大で月1.9万円(6.3%)とされています。

加算率はサービスの種類と区分で決まります。令和8年6月以降の例は次のとおりです。

サービス区分Ⅰイ区分Ⅳ
訪問介護27.0%17.0%
通所介護11.1%8.3%
介護老人福祉施設16.3%11.3%
認知症対応型共同生活介護21.0%14.9%
訪問看護(今回から対象)1.8%(区分なし)

加算率は、1か月の総単位数にかける率です。別紙1の表1-2〜1-5の値で、区分Ⅰロ・Ⅱロ・Ⅱイ・Ⅲの率は省いています。自施設の率は、通知の原文で確かめてください。

採用で効くのは、加算の額そのものより、算定の要件に入っている仕組みです。

  • キャリアパス要件Ⅰ: 職位・職責に応じた任用の要件と賃金の体系を、就業規則などで定めて周知する。
  • キャリアパス要件Ⅱ: 研修の計画を立て、研修の機会か、資格の取得の支援を設ける。
  • キャリアパス要件Ⅲ: 経験・資格・評価のどれかに応じて昇給する仕組みを書面で整える。
  • 職場環境等要件: 入職の促進や両立支援などの取組を行う。上位の区分では、取組の内容を介護サービスの情報公表制度などで外から見える形にする。

これらは、候補者が応募の前に知りたいことと重なります。昇給の基準、資格の支援、取得している加算の区分を求人やスカウトに書けると、条件の比べ合いで不利になりにくくなります。

たとえば「処遇改善加算は区分Ⅰイを取得。介護福祉士の資格を取ると、翌月から基本給が上がる」と書けば、候補者は昇給の道筋を応募の前に確かめられます。書けるのは、実際に就業規則などで定めている内容だけです。加算の配分の方法は事業所ごとに違うので、個人の受け取る額を約束する書き方は避けます。

紹介の手数料と早期の離職

ANSWER

人材紹介で入った人のうち、6か月以内に辞めた人の割合は、看護で12.9%、介護で19.9%でした。厚労省の集計で、全国・令和5年度の実績です。

職業紹介事業者が国に出す事業報告から出した値です。紹介の手数料の額と率は、職種別の表を人材紹介の手数料の記事にまとめています(この記事では金額を扱いません)。

職種(厚労省の区分)6か月以内の離職率(令和5年度)
看護12.9%
介護19.9%

全国の値です。離職率は無期雇用で就職した人のうち、6か月以内に辞めた人の割合で、離職したか分からない人は外数です。ブロック別・都道府県別の値は、紹介事業者の所在地で分けています。求人を出す施設の所在地ではありません。

紹介の手数料は、1人あたりの採用単価の大きな部分を占めます。早く辞めると、その費用をもう一度かけることになります。紹介を使うときは、返金の規定がどうなっているかを契約の前に確かめます。

紹介会社と契約する前に、次の3つを書面で確かめておきます。

  • 手数料の算定の基礎: 率をかける元が年収か月給か、賞与や夜勤の手当を含むか。
  • 返戻金の期間と割合: 何か月以内に辞めたら、いくら戻るか。
  • 離職の実績: その紹介会社から入った人の6か月以内の離職の状況。厚労省の人材サービス総合サイトで公開されている。

国は、医療・介護・保育の分野で「適正な有料職業紹介事業者」を認定する制度を設けています。基準の例として、職種別の手数料の公表、早期離職時の返戻金制度、求職者に「お祝い金」を出さないこと、などが挙げられています。紹介会社を選ぶ材料の1つになります。

手数料の決まり方と比べ方は人材紹介の手数料の相場に、採用手段ごとの費用の平均は採用単価の平均と内訳にあります。

採用の方法と、向く場面

ANSWER

介護・看護の採用は、ハローワーク・求人サイト・人材紹介・スカウト・紹介と再雇用の5つを組み合わせます。どれか1つに頼ると、その経路が詰まったときに止まります。

方法向く場面確かめること
ハローワーク地元で通える人を広く集める。パートの求人も同じ窓口で出せる主要なハローワークの「人材確保対策コーナー」で、求人の条件や求人票の書き方の相談ができる
介護・医療の求人サイト資格と働き方の条件で探す人に見つけてもらう掲載の料金の型(掲載課金か応募課金か)と、原稿に書ける条件の項目
人材紹介常勤の看護師など、急いで1人を埋めたい手数料、返金の規定、6か月以内の離職の実績(人材サービス総合サイトで公開)
スカウト今の職場にいて、条件が合えば動く人に届ける媒体の利用料と、送る・返信に答える手間を誰が持つか
職員の紹介・元職員の再雇用働きぶりを知っている相手に声をかける紹介の報奨の払い方(職業安定法第40条)。可否の判断は御社で行う

スカウトは、転職サイトに登録したまま、すぐには動いていない人にも届きます。夜勤の回数や通勤の条件など、候補者が最初に見る条件から書くのが基本です。全文の例は看護師・介護職向けスカウトメールの例文にあります。

スカウトを外部に任せる場合の法令の整理はスカウト代行は違法?職業安定法の基礎にあります。どの方法を選んでも、最後は採用1人あたりの費用で比べます。採用単価の計算ツールなら、外部の費用と施設の中の工数を合わせて出せます。

入職の前に伝えること

ANSWER

早期の離職を減らすには、入職の前に「最初の1か月の働き方」を具体的に伝えます。配属先・夜勤の始まる時期・教える担当の3つが分かると、入ってからの食い違いが減ります。

  1. 配属先と利用者の様子: どのフロアやサービスに入るか。介護度や医療的なケアの多さ。
  2. 夜勤とシフトの始まり方: 夜勤に入るのは何か月目からか。最初の月の勤務の組み方。
  3. 教える担当と研修: 誰がつくか、同行は何回か。キャリアパス要件Ⅱの研修の計画とつながる。
  4. 昇給と資格の支援: 何をすれば給与が上がるか。介護福祉士などの受験の支援。

常勤の看護師は、パートを除いた求人倍率のほうが高く出ていました。常勤の枠を埋めにくいときは、日勤だけの常勤や短時間の正職員など、働き方の選択肢を増やすと候補者が広がります。ただし、夜勤を担う人の数が足りるかは、勤務表で先に確かめます。選択肢を増やした結果、既存の職員に夜勤が偏ると、今度は今いる人が辞める理由になります。

この4つは、面接で口頭で話すだけでなく、内定の通知と一緒に書面で渡すと伝わります。処遇改善加算の要件で書面に整えた規程を、そのまま使える部分もあります。

ほかの職種の採用の難しさは、施工管理の採用が難しい理由と、採用の方法などでも扱っています。職種ごとのページの一覧は職種別のスカウト代行にあります。

PINSCOUTで採る場合

ANSWER

PINSCOUTは、完全成果報酬のスカウト代行です。資格・施設の形態・夜勤の希望を経歴と照らし、1人ずつ文面を書いて送ります。

出典

SOURCES — この記事の出典

FAQ

よくある質問

介護職の有効求人倍率は何倍ですか?
厚生労働省「一般職業紹介状況」で、介護職は「介護サービス職業従事者」に入ります。2026年9月は3.94倍でした(常用・パートを含む原数値)。パートを除くと3.54倍です。ハローワークの求人と求職だけの数字です。
看護師の採用単価の目安はありますか?
人材紹介の手数料は、厚生労働省の集計に職種別の値があります。人材紹介の手数料の記事に表でまとめています。求人サイトや自社の工数を含めた採用単価は、施設ごとに採用単価の計算ツールで出して比べます。
訪問看護も処遇改善加算の対象になりましたか?
なりました。令和8年度の期中改定で、それまで対象外だった訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅介護支援等に、介護職員等処遇改善加算が設けられました。令和8年6月以降の訪問看護の加算率は1.8%です。算定の要件は厚生労働省の通知の原文で確かめてください。
処遇改善加算は、採用にどう役立ちますか?
加算の要件には、昇給の仕組み・研修の計画・職場環境の取組の公表が含まれます。どれも候補者が応募の前に知りたい内容です。取得している区分と、昇給の基準を求人やスカウトに書くと、条件を比べる候補者に伝わります。