KEY POINTS — この記事の要点
施工管理が入る「建築・土木・測量技術者」の有効求人倍率は2026年9月に5.77倍で、全職業の1.08倍の数倍に当たる(厚労省の一般職業紹介状況、パート込みの原数値)。
建設の事業の残業の上限は、猶予が終わった2024年4月1日に始まった。原則は月45時間・年360時間で、特別条項を結んでも年720時間を超えられない。
採用方法は費用の出る時点で比べる。資格者の配置の決まりから、1級の有資格者だけでなく技士補の若手や他の工種の経験者まで対象を広げられる。
施工管理の採用が難しい理由
ANSWER
施工管理の採用が難しいのは、求職者に対して求人がとても多いからです。そのうえ、現場ごとに資格者を置く決まりがあり、資格と工種が合う人しか採れません。
難しさは、次の3つが重なって生まれます。
- 人が足りない: 公的な統計で、求職者1人に対する求人の数が全職業の平均を大きく上回っています。
- 働き方の決まりが変わった: 2024年4月から、建設の事業にも時間外労働の上限が適用されました。残業で回していた工程は、人を増やすか、仕事を分けて回すことになります。
- 誰でもよいわけではない: 工事の現場には、主任技術者か監理技術者を置く決まりがあります。資格や経験の種類が工事と合わないと、配置できません。
1つ目は市場の問題で、1社では変えられません。2つ目と3つ目は、求人の作り方と、声をかける相手の選び方で差が出ます。以下、順に数字と決まりを確かめます。
求人倍率から分かること
ANSWER
2026年9月の「建築・土木・測量技術者」の有効求人倍率は5.77倍です。同じ月の職業計は1.08倍で、施工管理に近い分類は数倍の取り合いになっています。
この倍率は、ハローワークで受け付けた求人の数を、同じ分類で仕事を探す人の数で割って出します。5倍なら、施工管理に近い仕事を探す1人を、5件の求人が取り合っている形です。
| 厚労省の分類名 | 2026年9月 | 前年同月(2025年9月) |
|---|---|---|
| 建築・土木・測量技術者 | 5.77倍 | 5.63倍 |
| 建設・採掘従事者 | 5.13倍 | 5.09倍 |
| 職業計 | 1.08倍 | 1.10倍 |
施工管理の仕事は、統計では「建築・土木・測量技術者」に入ります。この分類は、測量や設計の技術者も含む広い区分です。現場で働く職人は「建設・採掘従事者」に入り、こちらは5.13倍でした。
2026年9月の「建築・土木・測量技術者」は、有効求人が59,740件、有効求職者が10,360人でした。求職者1人に、約5.8件の求人がある計算です。
読むときの注意は3つあります。
- 数えているのはハローワーク経由の分だけです。求人サイトに載せた求人や、紹介会社に頼んだ求人は入りません。
- 季節調整をしていない原数値なので、月によって動きます。直近13か月の「建築・土木・測量技術者」は4.85倍〜6.36倍の幅でした。比べるなら、1年前の同じ月と比べます。
- パートタイムを除くと値が変わります。正社員の採用に近いのはこちらで、同じ月の「建築・土木・測量技術者」は6.90倍です。
施工管理の倍率が、介護や運転の仕事と比べてどの位置にあるかは、職業別の倍率の一覧で13か月分を並べています。
2024年4月の上限規制
ANSWER
建設の事業の残業の上限は、ほかの業種より遅れて、2024年4月1日に適用が始まりました。上限は原則で月45時間・年360時間、特別条項を結んだ場合も年720時間です。
労働基準法第36条の上限は、ほかの業種では先に適用されていました。工作物の建設の事業は、附則第139条で2024年3月31日まで猶予されていました。猶予が終わり、今は一般の業種と同じ上限が適用されます。
例外は災害の復旧・復興の事業です。この事業では、月100時間未満と複数月の平均80時間以内が適用されません。年720時間と、月45時間を超えるのは年6か月まで、という上限は残ります。
採用への影響は、次の2つの面に出ます。
- 人数の面: 残業で吸収していた仕事は、人を増やすか、書類や段取りを分けて回すことになります。施工管理の求人が減りにくい理由の1つと考えられます。
- 候補者の面: 候補者は上限が適用されたことを知っています。知りたいのは、応募先の現場で実際に何時間だったかです。
上限を守れているかを確かめるのは、雇う側の責任です。36協定の届出と、実績の記録をそろえてから求人を出すと、面談で聞かれても答えに詰まりません。
資格と配置の決まり
ANSWER
建設業者は、請け負った工事の現場に主任技術者を置かなければなりません。一定規模以上の下請けを使う元請けは監理技術者を置きます(建設業法第26条)。
施工管理技士は、建設業法第27条の技術検定に合格した人の称号です。検定は第一次検定と第二次検定に分かれています。指定試験機関の案内では、検定の種目は建築・土木・電気工事・管工事・造園・建設機械・電気通信工事の7つです。
採用で押さえておく決まりは、次の3つです。
| 制度 | 建設業法・検定での扱い | 求人への響き方 |
|---|---|---|
| 監理技術者 | 指定建設業7業種の監理技術者は、一級施工管理技士等の国家資格者か大臣認定者に限られる | 元請けで大きな工事を持つ会社は、1級の有資格者が要る |
| 監理技術者補佐 | 主任技術者の資格があり、1級の第一次検定に合格した人(技士補)などを専任で置く | 補佐を置くと、監理技術者が複数の現場を兼ねられる場合がある |
| 受検資格の見直し | 令和6年度の見直しで、1級の第一次検定は、年度末の時点で満19歳以上なら受けられる | 実務経験が浅くても、1級の技士補を持つ若手がいる |
指定建設業は、土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園の7業種です。このほかの業種では、指導監督的な実務経験で監理技術者になれる道もあります。
第二次検定には、第一次検定の合格後の実務経験が要ります。1級では、請負金額4,500万円(建築一式は7,000万円)以上の工事での「特定実務経験」1年以上を含める道があります。令和10年度までは、改正前の受検資格でも第二次検定を受けられます。
この決まりから、採用の要件は「資格の有無」だけでは決まらないことが分かります。どの工種の、どの級を、どの立場で置きたいかまで決めると、声をかける相手が絞れます。
施工管理の採用経路と費用の出方
ANSWER
経路は大きく、求人を出して応募を待つもの(ハローワーク・求人サイト)と、人を探して声をかけるもの(スカウト・人材紹介)の2つです。比べる軸は、費用が出る時点です。
施工管理のように倍率が数倍の仕事では、待つ経路だけで人数をそろえるのは難しくなります。下の表は、費用の出方と社内に残る手間を、経路ごとに並べたものです。
| 方法 | 費用の出方 | 自社に残る手間 | 施工管理で向く場面 |
|---|---|---|---|
| ハローワーク | 求人を出すのに費用はかからない | 求人票の作成、応募への対応 | 地元の求職者に広く知らせる。統計の母集団そのもの |
| 求人サイト | 媒体ごとに違う。Indeedは掲載が無料で、スポンサー求人はクリック課金 | 原稿の作成、応募への対応 | 現場の近くで次の勤め先を探し始めた人に、求人を見てもらう |
| 人材紹介 | 入社が決まった時点で紹介会社に払う。額は省令の上限か、紹介会社が届け出た手数料表で決まる | 推薦された人の選考 | 1級の有資格者など、要件が固い1名を急ぐ |
| スカウト(自社) | スカウト媒体の利用料 | 候補者探し、文面、返信、日程 | 工種と経歴を読み、転職を急いでいない人にも届ける |
| スカウト代行 | 月額・送った通数・成果(面談や採用)のどれかで払う | 返信への対応、面談(範囲は契約しだい) | 自社に送る時間が無いが、スカウトで攻めたい |
| 社員の紹介 | 紹介した社員への報奨。賃金などとして払う(職業安定法第40条) | 制度の周知、紹介された人の選考 | 元同僚・協力会社の人など、働きぶりを知る相手 |
紹介会社に払う料率の実績は紹介手数料の料率の記事に、スカウトを外に任せたときの金額の幅はスカウト代行の費用の記事に分けて載せました。
建設の会社では、協力会社の職長や元同僚など、社員の知り合いが候補になることがあります。報奨の払い方には職業安定法第40条がかかわり、募集にかかわった社員へ賃金以外の形で報酬を渡すことを制限しています。就業規則での定め方と可否は、自社で決めます。
経路を選んだ後は、施工管理1人を採るのに実際いくらかかったかで振り返ります。所長や工事部長が面接に出た時間も金額に入れると、経路どうしの差が正しく出ます。計算には採用単価の計算ツールが使えます。他社の平均と比べたいときは、公的な調査の採用費用で数え方の違いを確かめてください。
1級の有資格者以外に声をかける
ANSWER
1級の有資格者だけを狙うと、取り合いの中心に入ります。技士補の若手・他の工種の経験者・発注者側の技術者まで広げると、取り合いの中心から外れた層にも届きます。
資格と配置の決まりから、狙える層は少なくとも4つに分けられます。
- 1級の技士補を持つ若手: 受検資格の見直しで、実務経験が無くても1級の第一次検定を受けられるようになりました。監理技術者補佐として育てる道を示せます。
- 2級の有資格者: 主任技術者として配置しながら、1級の第二次検定まで支える形が組めます。
- 近い工種の経験者: 実務経験は、検定の種目に対応する業種の工事で数えます。1つの業種の経験を、複数の種目の実務経験に使える場合もあります。
- 発注者側の技術者: 発注者側の経験は、1級の特定実務経験には当たりません。御社の現場で特定実務経験を積めると示すと、第二次検定への道筋が見えます。
4つの層は、響く話がそれぞれ違います。技士補には育成の道筋、2級の人には受検の支え、発注者側の人には現場の経験が効きます。層ごとの文面の全文は施工管理の文例集に、書いた文面の点検は点検ツールに任せられます。
企業が自分で媒体を検索して声をかける方法の全体像は、ダイレクト
求人を出す前に決める4つ
ANSWER
置きたい立場・最初の現場・時間外の実績・資格の支援の4つは、求人より先に決めます。どれかが空欄だと、経路を問わず面談で答えに詰まります。
- 置きたい立場: 工種・級・主任技術者か監理技術者か補佐か。担当か所長候補か。
- 次の現場: 入社して最初に付く現場の構造・規模・場所・体制。
- 時間外の実績: 36協定の内容と、昨年度の現場で実際にかかった時間。
- 資格の支援: 受検の費用・講習・勉強の時間・合格したときの手当。
4つのうち、資格の支援は若手と2級の層に効きます。時間外の実績は、どの層にも問われます。
スカウトを外の会社に任せるなら、誰の名義で送るかと職業安定法の論点も、この段階で決めておきます。論点の並べ方は職業安定法との関係の記事に、施工管理以外の職種の事情は職種別のページに載せています。
面談で候補者が確かめること
ANSWER
施工管理の候補者が面談で確かめるのは、条件の数字より「入社した後の毎日」です。現場の数、書類の分担、移動、資格を取った後の役割の4つを、具体的に話せるようにしておきます。
| 聞かれること | 答えに詰まる会社 | 話せるとよい中身 |
|---|---|---|
| 現場を何か所持つか | 「案件しだい」とだけ答える | 今の担当者が持つ現場の数と、兼ねる現場の組み合わせ方 |
| 書類は誰が作るか | 全部を担当者に任せている | 安全書類・写真の整理・図面の修正のうち、事務や本社が受け持つ範囲 |
| 現場までの移動 | 勤務地を本社の住所だけで書く | 現場の範囲、直行と直帰の扱い、車や移動の時間の扱い |
| 資格を取った後 | 手当の額しか決まっていない | 合格した後に任せる現場の規模と立場 |
どれも、上限規制と資格者の配置の話につながっています。現場を兼ねる数は、監理技術者補佐を置くかどうかで変わります。書類の分担は、時間外の実績を左右します。条件の数字が同じ会社が並ぶと、この4つの答えの具体さで比べられます。
答えは、所長か工事部長に用意してもらうのが確実です。採用の担当者が面談に出る場合も、現場の写真や工程表の例を見せられると、話が抽象的なまま終わりません。
施工管理をPINSCOUTで探すとき
ANSWER
工種・級・置きたい立場を伝えると、PINSCOUTの専属のAIが候補者の資格と現場の経歴を読み、配置できそうな人に1通ずつ書きます。払うのは面談か採用が決まったときです。
出典
SOURCES — この記事の出典
- 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年9月分)について」(2026年10月30日公表)2026年11月3日に原文を確認。見出しの有効求人倍率1.19倍は季節調整値。職業別の値は同じページの参考統計表(PDF)にある原数値
- 厚生労働省「職業安定業務統計」(一般職業紹介状況の各月の結果の一覧)2026年11月3日に原文を確認
- e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号)第36条・附則第139条2026年11月3日に原文を確認。附則第139条で、工作物の建設の事業は令和6年3月31日まで第36条第3項〜第5項の上限が適用されなかった。災害時の復旧・復興の事業には、当分の間、月100時間未満などの一部が適用されない
- 厚生労働省「建設業の事業主の皆さまへ 建設業「時間外労働の上限規制」のポイント」(2024年3月)2026年11月3日に原文を確認。原則 月45時間・年360時間、特別条項 年720時間・月100時間未満・複数月平均80時間以内(休日労働を含む)。災害の復旧・復興の事業では、月100時間未満と複数月平均80時間以内が適用されない
- e-Gov法令検索「建設業法」(昭和24年法律第100号)第26条・第27条2026年11月3日に原文を確認。第26条は主任技術者・監理技術者の設置、第27条は技術検定(第一次検定・第二次検定)
- 国土交通省「監理技術者制度運用マニュアル」(最終改正 令和6年12月13日、令和7年2月1日施行)2026年11月3日に原文を確認。改正の新旧表の PDF。指定建設業7業種の監理技術者は、一級施工管理技士等の国家資格者か国土交通大臣認定者に限られる
- 国土交通省「令和6年度より施工管理技術検定の受検資格が変わります」(令和5年11月9日版)2026年11月3日に原文を確認。1級の第一次検定は受検年度末に19歳以上、2級は17歳以上で受検できる。令和10年度までは、改正前の受検資格でも第二次検定を受けられる
- 福井労働局 ハローワーク大野「事業主の皆様へ」2026年11月3日に原文を確認。「求人のお申込みには費用は一切かかりません。」の記載
- Indeed「料金・有料オプションでの掲載について」2026年11月3日に原文を確認。求人の掲載は無料。有料オプションのスポンサー求人は、求人がクリックされたときに課金される「クリック課金型」。更新日の記載なし
- e-Gov法令検索「職業安定法」(昭和22年法律第141号)2026年10月30日に原文を確認
- ビズリーチ(BizReach withHR)「スカウト代行とは? サービスの種類や料金、選び方のコツを徹底解説」(2022年12月12日公開・2025年9月10日更新)2026年10月30日に原文を確認。媒体の運営会社の解説記事に載っている目安で、集計の方法は示されていません
FAQ