KEY POINTS — この記事の要点
2026年9月の「自動車運転従事者」の有効求人倍率は2.56倍で、職業計の1.08倍を大きく上回る(厚労省「一般職業紹介状況」、パートを含む原数値)。
2024年4月1日から、トラック運転者の拘束時間は原則 年3,300時間・月284時間・1日13時間まで。休息期間は継続11時間以上が基本で、9時間を下回れない。
2017年3月12日以降に取った普通免許で乗れるのは車両総重量3.5トン未満まで。準中型免許は18歳から取れ、育てて採る道がある。
ドライバーが集まらない理由
ANSWER
ドライバーが集まらないのは、仕事を探す人に対して求人が多いうえ、2024年4月から1人が働ける時間に上限ができたからです。免許の区分によって、乗れる車両が人ごとに違うことも重なります。
集まらない理由を分けると、次の3つになります。
- 求人の数が多い: 自動車の運転の仕事は、求職者1人に対する求人の数が職業計を大きく上回っています。どの会社も同じ人を探しています。
- 1人で運べる量が減った: トラック運転者には、拘束時間と休息期間の新しい基準が適用されました。長い運行を1人に任せる組み方が難しくなり、同じ荷物を運ぶのに要る人数が増えます。
- 免許で採れる人が絞られる: 2017年3月より後に取った普通免許では、車両総重量3.5トン以上の車に乗れません。若い人ほど、そのままでは乗れる車両が限られます。
1つ目と2つ目は業界全体の事情です。3つ目と、求人に何を書くかは、会社ごとに手が打てます。以下で、数字と決まりを順に確かめます。
求人倍率と、取り合いの度合い
ANSWER
2026年9月の「自動車運転従事者」の有効求人倍率は2.56倍でした。職業計の1.08倍と比べて約2.4倍で、運転の仕事は求人が求職者を大きく上回っています。
この倍率は、ハローワークで受け付けた求人の数と、仕事を探す人の数の比です。値が2を超えると、仕事を探す1人を2件以上の求人が待っている状態を表します。
| 職業分類(厚労省の名称) | 2026年9月 | 1年前(2025年9月) |
|---|---|---|
| 自動車運転従事者 | 2.56倍 | 2.58倍 |
| 職業計 | 1.08倍 | 1.10倍 |
2026年9月の「自動車運転従事者」は、有効求人が98,821件、有効求職者が38,611人でした。仕事を探す1人に、約2.6件の求人がある計算です。
数字を読むうえで、次の3点に気をつけます。
- この分類には、トラックのほか、バス・タクシーなどの運転の仕事も入ります。トラックだけの倍率は、この表からは分かりません。
- 季節調整をしていない値です。直近13か月では、2025年12月の2.73倍が最も高く、2026年5月の2.37倍が最も低い月でした。年度の変わり目の前後で動くので、比べるなら前年の同じ月とです。
- パートタイムを除くと2.76倍です。正社員のドライバーを探すなら、こちらのほうが実感に近い値です。
ほかの職種との並びと13か月の推移は、職種別の有効求人倍率で見られます。
改善基準告示で変わったこと
ANSWER
2024年4月1日から、トラック運転者の拘束時間は原則で年3,300時間・月284時間、1日13時間までになりました。勤務と勤務の間の休息は、継続11時間以上を基本とし、9時間を下回れません。
改善基準告示は、自動車運転者の労働時間などについて、厚生労働大臣が定めた基準です。同じ日から、時間外労働の上限も適用されました。臨時的な特別の事情がある場合でも、年960時間が上限です。
拘束時間は、運転だけでなく、荷待ち・荷役・休憩を含めた始業から終業までの時間です。1日の拘束を15時間まで延ばせるのは例外で、14時間を超える日は週2回までを目安に減らすよう努めるとされています。
長距離の貨物の運送には特例があります。週2回までなら、1日の拘束を16時間まで延ばせます。その場合の休息は継続8時間以上でよく、運行の後に継続12時間以上の休息を与えます。
採用には、次の2つの面で効いてきます。
- 要る人数が増える: 1人で回していた長い運行は、中継や交代で分ける必要が出ます。運べる量を保つには、人を足すことになります。
- 候補者の比べ方が変わる: 残業で稼ぐ組み方には上限ができました。候補者は、拘束時間の実績と、基本給と手当の組み立てを比べて会社を選びます。
基準を守るのは雇う側の責任です。運行の記録と、拘束時間の月ごとの実績をそろえておくと、面談で聞かれたときに数字で答えられます。バスとタクシーの運転者には、それぞれ別の基準があります。
建設業も同じ2024年4月に上限が適用されました。業界ごとの違いは施工管理の採用が難しい理由で扱っています。
輸送力の見通し
ANSWER
国の試算では、何も対策をしなければ2030年度に輸送力が足りなくなる可能性があります。2026年3月の再検証では、その不足は平均で約7%、最大で約25%とされました。
2023年10月の「物流革新緊急パッケージ」は、何も対策を講じなければ、2024年度に14%、2030年度に34%の輸送力不足の可能性を示しました。基準は、新型コロナの前の2019年度の貨物輸送量です。
2026年3月3日に国土交通省が公表した検討会の提言は、この見通しを見直しています。当初の約34%の需給の差のうち、約14%は官民の取組の成果などで概ね克服できたとしました。そのうえで、施策を講じなければ、2030年度に平均で約7%から最大で約25%の不足が生じうるとしています。
| 資料 | 2030年度の不足の見通し | 前提 |
|---|---|---|
| 物流革新緊急パッケージ(2023年10月) | 34% | 何も対策を講じない場合。2019年度の輸送量が基準 |
| 総合物流施策大綱の検討会の提言(2026年3月) | 平均で約7%〜最大で約25%(1.7億トン〜7.2億トン) | 何も施策を講じない場合。需要と供給の見通しを3通りで置いた |
見通しは前提で幅が出ます。それでも、どの資料も「放っておけば運び手が足りない」方向で一致しています。運送会社だけでなく、自社の配送を持つ荷主の会社も、同じ候補者を取り合う立場です。
採用の計画を立てるときは、欠員の補充だけでなく、運行を分けるために要る人数まで見込みます。必要な面談や送信の数を逆に計算するなら、必要なスカウト送信数の逆算ツールが使えます。
免許の区分と、採れる人の幅
ANSWER
2017年3月12日から、普通免許で乗れるのは車両総重量3.5トン未満の車になりました。準中型免許は18歳から取れ、7.5トン未満の車に乗れます。
準中型免許は、高校を出てすぐの若い人がトラックに乗れるように新しく作られた区分です。内閣府の交通安全白書は、中型免許が20歳からで、運転者の人材確保に影響していたことを背景に挙げています。
| 免許 | 乗れる車(車両総重量) | 取れる条件 | 採用での意味 |
|---|---|---|---|
| 普通(2017年3月12日以降) | 3.5トン未満 | 18歳以上 | 小型の配送の車まで。トラックの多くには乗れない |
| 普通(2017年3月11日まで) | 5トン未満(準中型の5トン限定とみなす) | 取り直しは不要 | 年齢が上の層は、5トン未満の車に乗れる |
| 準中型 | 7.5トン未満 | 18歳以上。普通免許がなくても取れる | 高校を出た人を採り、会社の費用で取らせる道がある |
| 中型 | 11トン未満 | 20歳以上・普通免許等を2年以上 | 準中型の経験者に、次に取る免許として示せる |
| 大型 | 11トン以上 | 21歳以上・普通免許等を3年以上 | 長距離の幹線輸送で乗る車格。経験者は取り合いになりやすい |
2022年5月13日からは、受験資格の特例もあります。特例の教習を終えれば、19歳以上・普通免許等を1年以上持っていることで、中型・大型の試験を受けられます。本来の年齢に達するまでは「若年運転者期間」として扱われます。
ここから、声をかける相手の幅は広げられます。大型の経験者だけを探すと、取り合いの中心に入ります。準中型や中型の経験者に、会社の費用で上の免許を取らせる道を示すと、別の層に届きます。
求人を書くときは、乗る車の車両総重量を書きます。「2トン車」という呼び名は最大積載量の目安で、車両総重量では3.5トンを超える車もあります。免許の区分と照らせるのは車両総重量です。
採用方法の比べ方
ANSWER
ドライバーの採用方法は、免許を持つ経験者を探すか、免許を取らせて育てるかで分かれます。求人を出して待つ方法だけでは、求人の多い職種では埋もれやすくなります。
比べるときは、費用の出る時点と、運転の経験をどこで確かめるかをそろえます。採用単価の高い・安いは、方法ごとに社内の手間を足して比べないと判断できません。
| 方法 | 費用の出方 | 届く相手 | ドライバーでの使いどころ |
|---|---|---|---|
| ハローワーク | 求人の申込みは無料 | 近くで仕事を探している人 | 地場の配送など、通える範囲の人を集める |
| ドライバー向けの求人サイト | 媒体ごとの掲載料や、応募・クリックの課金 | 運転の仕事を探している人 | 車格と運行の形で探す人に見つけてもらう |
| 人材紹介 | 採用が決まったときに手数料 | 紹介会社に登録した人 | 大型・けん引など、免許の条件が固い1名 |
| スカウト | 媒体の利用料。代行に頼むなら、その料金 | 今は応募していない経験者 | 長距離から日帰りへ移りたい人など、条件で動く人 |
| 免許を取らせて育てる | 教習の費用と、取るまでの賃金 | 運転の経験が浅い若い人、別の職種の人 | 準中型から育て、中型・大型へ上げる道を作る |
| 社員からの紹介 | 紹介した社員への報奨など、社内の決まりによる | 今の運転者の知り合い | 同じ営業所の運行を知る人を、早く迎える |
どの方法でも、最後に比べるのは「採用1人あたりにいくらかかったか」です。採用単価の計算ツールなら、外部の費用と社内の工数を合わせて出せます。公的な調査での採用費用の平均は、採用単価の平均と内訳で整理しています。
人材紹介を使うなら、手数料の決まりと返金の型を先に確かめます。比べ方は人材紹介の手数料の相場にあります。
応募の前に答えておく5つ
ANSWER
ドライバーの候補者は、応募の前に生活がどう変わるかを知りたがります。運行の形・拘束時間の実績・休日・荷役・給与の組み立ての5つを、求人とスカウトの両方で先に示します。
- 運行の形: 地場の日帰りか、中距離か、泊まりの長距離か。ルートは固定か、日ごとに変わるか。
- 拘束時間の実績: 改善基準告示の上限ではなく、昨年度の月ごとの実際の拘束時間。休息期間がどれだけ取れているか。
- 休日: 曜日が決まっているか、シフトか。連休が取れる月はあるか。
- 荷役: 手積み・手降ろしがあるか、パレットとフォークリフトか。荷待ちの時間はどのくらいか。
- 給与の組み立て: 基本給と各種の手当、時間外の扱い。上限ができた後も、どう稼げるか。
5つのうち、拘束時間の実績は2024年4月の後に重みが増しました。上限を守れているかを、候補者は自分の生活の問題として見ています。数字を出せる会社は、それだけで比べられたときに選ばれやすくなります。
5つをどう文面に落とすかは、ドライバー向けのスカウトメール例文に状況別の全文があります。書いた下書きはスカウト文の点検ツールで、抜けている情報を確かめられます。
人手の取り合いは、ほかの現場の仕事にも共通しています。介護職の採用が難しい理由や経理の採用が難しい理由と比べると、職種ごとの打ち手の違いが分かります。職種ごとのページの一覧は職種別のスカウト代行にあります。
PINSCOUTで採る場合
ANSWER
PINSCOUTは、完全成果報酬のスカウト代行です。候補者の免許と乗ってきた車両、運行の形を経歴から読み、1人ずつ書いて送ります。
出典
SOURCES — この記事の出典
- 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年9月分)について」(2026年10月30日公表)2026年11月3日に原文を確認。見出しの有効求人倍率1.19倍は季節調整値。職業別の値は同じページの参考統計表(PDF)にある原数値
- 厚生労働省「職業安定業務統計」(一般職業紹介状況の各月の結果の一覧)2026年11月3日に原文を確認
- 厚生労働省「トラック運転者の改善基準告示」(自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト)2026年11月3日に原文を確認。拘束時間の上限や休息期間等の改正は令和6年4月1日施行。時間外労働の上限は令和6年4月から原則 月45時間・年360時間、臨時的な特別の事情がある場合でも年960時間
- 我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議「物流革新緊急パッケージのポイント」(令和5年10月6日)2026年11月3日に原文を確認。「何も対策を講じなければ、2024年度には14%、2030年度には34%の輸送力不足の可能性」。試算は持続可能な物流の実現に向けた検討会(NX総合研究所の試算)。基準は2019年度の貨物輸送量
- 国土交通省ほか「2030年度に向けた総合物流施策大綱に関する検討会 提言(概要)」(令和8年3月3日公表)2026年11月3日に原文を確認。当初の2030年度の約34%の需給ギャップのうち約14%は官民の取組の成果等で概ね克服。再検証では、何も施策を講じない場合、2030年度に平均で約7%〜最大で約25%(1.7億トン〜7.2億トン)の輸送力不足が生じうる。報道発表 https://www.mlit.go.jp/report/press/tokatsu01_hh_000979.html
- 警察庁・総務省消防庁「準中型免許は、ご存じですか?」(リーフレット)2026年11月3日に原文を確認。原文は「準中型免許では、車両総重量7.5トン未満(最大積載量4.5トン未満)の自動車を運転できます」「普通免許で運転できる自動車は、車両総重量3.5トン未満(最大積載量2トン未満)」。区分の表は中型 11トン未満・20歳以上・普通免許等保有2年、大型 21歳以上・普通免許等保有3年。発行日の記載は無い。準中型の新設(平成29年3月)より前に取った普通免許の扱いは、このリーフレットには書かれていない
- 内閣府「平成30年交通安全白書(全文)」トピックス「準中型免許の新設について」2026年11月3日に原文を確認。平成29年3月12日施行。準中型免許は「免許を持たない18歳以上の者でも取得でき,車両総重量7.5トン未満の自動車を運転可能とする」。中型免許の取得年齢が20歳で、高校を卒業して間もない若年者が運転できず、運転者の人材確保に影響していたことが背景
- 茨城県警察「準中型免許について」2026年11月3日に原文を確認。施行日の前日までに普通免許を受けていた人は、新制度では「5t限定」の準中型免許を所持することになる。限定のない準中型免許には限定解除審査が要る
- 警察庁「第二種免許等の受験資格の見直しについて(令和4年5月13日)」2026年11月3日に原文を確認。受験資格特例教習を修了すると、19歳以上・普通免許等の保有1年以上で、第二種・大型・中型の試験を受けられる。年齢の特例は7時限以上、経験年数の特例は29時限以上の教習。本来の年齢(大型・第二種21歳、中型20歳)までは若年運転者期間
- 福井労働局 ハローワーク大野「事業主の皆様へ」2026年11月3日に原文を確認。「求人のお申込みには費用は一切かかりません。」の記載
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