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エンジニア採用が難しい理由と、媒体別の打ち手

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KEY POINTS — この記事の要点

  • 2026年9月の「情報処理・通信技術者」の有効求人倍率は1.33倍(職業計1.08倍)。ハローワークの外で動く求人は入らないので、倍率だけで難しさは測れない。

  • 経産省の2019年の試算では、IT人材の需給の差は2018年22万人から2030年45万人へ広がる(中位の前提)。IPAの調査では、DX人材の量が「大幅に不足」と答えた日本企業は49.6%。

  • 媒体は候補者について何が読めるかで使い分ける。要件は「入社時に要るもの」と「入社後に覚えるもの」に分けると、届く相手が増える。

エンジニア採用が難しい理由

ANSWER

エンジニアの採用が難しいのは、経験者に声をかける会社が多すぎるからです。IT企業だけでなく、DXを進める会社も中途採用で人を探しています。

「エンジニア採用は無理ゲー」と言われる背景を分けると、次の4つになります。

  1. 需要が先に伸びる: 国の試算では、IT人材の需要は供給を上回ったまま、差が広がる見通しです。
  2. 買い手が増えた: DXを進める会社も、中途採用で人を探しています。競合はIT企業だけではありません。
  3. 連絡が多すぎて埋もれる: 経験者のもとには複数の媒体から連絡が届きます。届いても、読まれる前に振り分けられます。
  4. 要件が掛け算になる: 言語・規模・役割・働き方を全部そろえると、当てはまる人は急に減ります。

1と2は市場の話で、1社では動かせません。3と4は、媒体の選び方と要件の組み立て方で差がつきます。この記事は後半で、その2つを扱います。

求人倍率だけでは測れない

ANSWER

2026年9月の「情報処理・通信技術者」の有効求人倍率は1.33倍で、職業計の1.08倍を上回ります。ただ、施工管理や介護ほど高い数字ではありません。

エンジニアに近い職業分類の有効求人倍率
職業分類(厚労省の名称)2026年9月1年前(2025年9月)
情報処理・通信技術者1.33倍1.41倍
職業計1.08倍1.10倍
エンジニアに近い職業分類の有効求人倍率(2026年9月)。参考統計表6。全国・常用(パートタイムを含む)・原数値(季節調整なし)。1年前の値は2025年9月分の同じ表。職業の区分は平成21年12月改定の日本標準職業分類。出典: 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年9月分)について」(2026年10月30日公表)

この数字を見て「エンジニアはそれほど足りていない」と読むのは早計です。表の数はハローワークに出た求人と、ハローワークで仕事を探す人だけを数えています。転職サイトやスカウト媒体の中で動く求人と求職は、ここに入りません。

2026年9月の「情報処理・通信技術者」は、有効求人51,575件に対して、有効求職者が38,766人でした。求人1件に対して求職者は約0.75人です。

1年前の同じ月は1.41倍で、数字は少し下がっています。ただし、倍率は分類の全体の平均です。若手や未経験の求職者が増えれば、経験者の取り合いが続いていても倍率は下がります。パートタイムを除いた値は1.48倍でした。

ほかの職種と並べた表は職種別の有効求人倍率にあります。エンジニアの難しさは、倍率よりも次の節の需給の見通しと、競合の顔ぶれに表れます。

IT人材の需給の見通し

ANSWER

経済産業省の2019年の試算では、IT人材の需要と供給の差は2018年の22万人から、2030年に45万人へ広がります。需要の伸びを年2.7%程度とした中位の前提です。

この調査は、経済産業省・厚生労働省・文部科学省の三省の連携で行われました。IT人材の数え方は、国勢調査の職業分類によります。「システムコンサルタント・設計者」「ソフトウェア作成者」「その他の情報処理・通信技術者」の3つです。

FIG.01IT人材の需給ギャップの試算(中位の前提)。経済産業省「IT人材需給に関する調査(概要)」表1から作成。

読むときは、次の3点を押さえておきます。

  • 試算であって実績ではない: 需要の伸び率と生産性の上がり方を仮に置いて計算した値です。
  • 前提で大きく変わる: 生産性が年3.54%上がれば、2030年に需要と供給は釣り合うと書かれています。伸び率を高く置いた前提では、2030年の需要は192万人です。
  • 供給も増える: 同じ試算で、IT人材の供給は2030年まで増え続ける見通しです。人は増えても、需要の伸びに追いつかないという形です。

同じ調査は、AIの開発者や研究者などの「AI人材」も別に試算しています。AIの需要の伸びを複数の市場調査の平均(年16.1%)とした場合、需給ギャップは2030年に12.4万人です。最も低い伸び(年10.3%)では、2030年に1.2万人まで縮みます。AIの領域は、前提しだいで見通しの幅が特に大きいということです。

採用の現場に引き寄せると、「待っていれば人が増えて楽になる」とは読めません。経験者を採る難しさは、当面は続く前提で計画を立てるのが安全です。

事業会社どうしの取り合い

ANSWER

IPAの「DX白書2023」では、DXを推進する人材の量が「大幅に不足している」と答えた日本企業が49.6%でした。前年度の30.6%から増えています。

同じ調査で、米国は20.9%から3.3%に下がりました。白書は日本の不足が増えた要因として、DXに取り組む企業の割合が増え、必要な人材へのニーズが増えたことを挙げています。

人材を確保する方法を尋ねた結果も、採用の競合を考えるうえで参考になります。

確保の方法(日本、n=375)回答の割合
社内人材の育成54.9%
既存人材(他部署からの異動も含む)の活用47.7%
外部採用(中途採用)44.3%
リファラル採用(社員の友人・知人の紹介)8.5%(米国は24.9%)

複数回答で、図表4-8の値です。中途採用を挙げた企業が4割を超えます。DXを推進する人材はエンジニアだけを指す言葉ではありません。それでも、開発の経験者を中途で探す会社がIT企業の外にも広がっていることは読み取れます。

日本ではリファラル採用の割合が米国より低く出ています。社員の紹介は、取り合いの外で候補者に会える数少ない経路です。制度を整える余地がある会社は多いと考えられます。

媒体別の打ち手

ANSWER

エンジニアの採用媒体は、候補者について何が読めるかで使い分けます。読める情報が多い媒体ほど、1人ずつ書く手間が成果に結びつきます。

媒体の名前より、媒体の型で考えると選びやすくなります。各社の料金の体系はスカウト媒体の料金比較で扱っているので、ここでは使い方だけを比べます。

媒体の型例読める情報打ち手
技術者向けのスカウト媒体Findy・LAPRAS・Forkwell使っている技術、公開している開発の活動へのリンク公開の活動を1つ読み、自社の課題との接点を書く
IT・Web向けの求人サイトGreen職歴、希望の働き方求人の原稿に開発の体制と技術の裁量を書き、スカウトでそこへ誘う
総合型の転職スカウトビズリーチ職務経歴、年収、役職テックリードやEMなど、役割と年収で絞れる層に向ける
ビジネスSNSLinkedIn職歴、本人の投稿外資での経験や英語での開発など、条件が特殊な求人に使う
自社の技術の発信技術ブログ・登壇(候補者が御社を読む側)スカウトの中で記事を示し、開発の中身を先に見せる
社員の紹介リファラル紹介者が知る働きぶり開発メンバーに、どの課題を解く人を探しているかを共有する

技術者向けの媒体は、公開の活動へのリンクがある人ほど、読む材料が多くなります。逆に、リンクの無い人には職歴と技術の名前しか手がかりがありません。その場合は、職歴の中の担当の範囲と規模に触れて、自社の課題との接点を探します。

媒体の数を増やすほど、送る作業と返信への対応も増えます。社内の工数を含めた採用単価は、採用単価の計算ツールで媒体ごとに出して比べられます。

どの型でも、文面が一斉送信に見えると読まれません。返信の率に影響する要素はスカウトの返信率を上げる方法にまとめています。エンジニア向けの全文の例はエンジニア向けスカウトメールの例文にあります。

社員の紹介に報奨を払う場合は、職業安定法第40条が関わります。募集に従事する社員へ、賃金・給料などに当たらない報酬を与えることを禁じた条文です。払い方の設計と可否の判断は、御社で行ってください。

要件を絞る、ではなく分ける

ANSWER

要件の掛け算で候補者が減るときは、条件を「入社の時点で要るもの」と「入社後に身につければよいもの」に分けます。前者だけで探すと、届く相手が増えます。

エンジニアの求人は、技術の名前を並べるほど対象が狭くなります。たとえば「Goで3年」「決済の経験」「チームを率いた経験」「フルリモート希望」を全部求めるとします。残るのは、4つの条件が重なる人だけです。

分けるときの手順は、次のとおりです。

  1. 解いてほしい課題を1つ書く: 「請求の基盤を作り直す」「障害の対応を属人から仕組みにする」のように、仕事の中身で書きます。
  2. 課題に直接要るものだけを残す: 言語は近いものでもよいか、規模の経験は要るか、を開発の責任者と決めます。
  3. 残りは育てる前提にする: 入社後の半年で何を覚えてもらうかを書けると、候補者は自分が当てはまるかを判断できます。
  4. 働き方の条件は最初に決める: 出社の頻度や勤務地は、後から変えにくい条件です。ここは曖昧にしません。

DX白書の調査でも、人材像を決めている企業ほど「量」が足りていると答える割合が高く出ています。何を解く人を探しているかを言葉にすることは、媒体を選ぶ前の準備になります。

選考の段数と速さ

ANSWER

エンジニアの候補者は、複数の会社と同時に話を進めています。返信から最初の面談までの日数と、選考の段数を先に決めておくと、途中で他社に決まる人が減ります。

決めておくことは、次の4つです。

  • 最初に会う人: 人事だけで会うか、開発の責任者が出るか。技術の話ができる人が出ると、候補者は判断がしやすくなります。
  • 技術の確認の時期: コーディングの課題や技術面接を、どの段で入れるか。最初の面談の前に課題を出すと、そこで止まる人が出ます。
  • 年収の幅の出し方: 最初の面談で年収の幅を示せるか。役割ごとの幅を開発の責任者と人事で先にそろえておくと、面談の後半で話が止まりません。
  • 結果を返すまでの日数: 各段の結果を何営業日で返すか。候補者に先に伝えると、待たせても離れにくくなります。

人材紹介を併用する場合は、紹介の手数料が理論年収に料率をかけて決まることが多いです。考え方は人材紹介の手数料の相場にあります。公的な調査での採用費用の平均は採用単価の平均と内訳で整理しています。

職種を問わない採用の難しさの比べ方は、営業の採用が難しい理由と、採用単価の考え方でも扱っています。職種ごとのページの一覧は職種別のスカウト代行にあります。

PINSCOUTで採る場合

ANSWER

PINSCOUTは、完全成果報酬のスカウト代行です。候補者のプロフィールに書かれた技術と経歴を読み、1人ずつ文面を書いて送ります。

出典

SOURCES — この記事の出典

FAQ

よくある質問

エンジニア採用は「無理ゲー」なのですか?
経験者を、求人を出して待つだけで採るのは難しい状況です。IT企業に加えて、DXを進める事業会社も中途採用で同じ人を探しているためです。媒体を候補者の情報が読めるものに絞り、要件を分けて対象を広げると、届く相手は増えます。
IT人材は何万人不足すると言われていますか?
経済産業省の2019年の試算では、需要の伸びを年2.7%程度、生産性の上昇を年0.7%とした場合、2030年に約45万人の差が出るとされています。生産性が年3.54%上がれば均衡するとも書かれており、前提で値は大きく変わります。
情報処理・通信技術者の有効求人倍率が低めなのはなぜですか?
2026年9月は1.33倍でした。有効求人倍率はハローワークに出た求人と求職だけを数えます。転職サイトやスカウト媒体の中で動く求人は入りません。そのため、経験者の取り合いの強さは、この数字に十分には表れません。
エンジニア採用で、どの媒体から始めればよいですか?
探している人の情報が読める媒体から始めます。使っている技術や公開の活動を見たいなら技術者向けのスカウト媒体、役割と年収で絞るなら総合型の転職スカウトが向きます。社員の紹介も、取り合いの外で会える経路として並べて検討します。